プログラム
日程表
日程表 2月20日(土)  日程表 2月21日(日)
プログラム

テーマ:挑戦するがん看護~未来を拓く研究と実践の融合~

第1日目 2016年2月20日(土)
会長講演
「挑戦するがん看護 ~未来を拓く研究と実践の融合~」
演  者 神田 清子(群馬大学大学院保健学研究科 教授)
座  長 内布 敦子(日本がん看護学会 副理事長、兵庫県立大学看護学部 教授)
日  時 2月20日(土)9:00-9:50
会  場 第1会場(幕張メッセ国際会議場 コンベンションホール)
企画意図  10年後の2025年には団塊の世代が後期高齢者となり、まだ世界のどこの国も経験していない超高齢社会で、がん看護を実践する時代を迎える。 地域包括ケアを視野に入れ、治療を受けながら生き生きと生活するには症状マネジメントなどが必要となる。
 看護実践の成果は、質的帰納的による分析、生理・心理学的指標などにより導かれてきている。しかし、ケアや看護の効果は、主観的評価では成果が示されやすいが、客観的な生理学や生化学では捉えきれず、もどかしさを感じずにはいられない。未来を拓く研究を導くために本学会のこれまでの研究成果を分析するとともに、研究者の体験から看護評価のための尺度開発から見えた研究と実践のさらなる融合と循環について考えていきたい。
特別講演
特別講演1「体内の「時間」の理解に向けて-全身透明化の先に見えるもの-」
講  師 上田 泰己(東京大学医学系研究科、理化学研究所)
座  長 神田 清子(群馬大学大学院保健学研究科 教授)
日  時 2月20日(土)9:50-10:50
会  場 第1会場(幕張メッセ国際会議場 コンベンションホール)
企画意図  がん患者のせん妄による昼夜逆転現象や夜勤のある看護師の生活のリズムの乱れは、身体各部にどのような影響があり、どんなことで改善するのだろうか。超高齢社会に突入し、睡眠の質、生活の質を高めるためには、細胞サイクルから生活支援をしていくことが解決につながるかもしれない。細胞はまだまだ解明できていない。がん細胞サイクルの関係から夜間化学療法をした方が、治療効果があがることが言われてきている。
 上田氏は体内時計について「朝」「昼」「夜」という3人の人間関係にたとえて説明できると語る。決して看護と無縁ではない。体内時計というむずかしい謎に迫り、研究成果をあげている演者に新たなことに挑戦する姿勢や考えをご教示願う。がん看護の将来を担う若手研究者や実践者に挑戦する勇気と示唆を与えてくれると思う。
教育講演
教育講演1「感性を高め倫理的問題を解決する ~研究成果を活用した解決の実際~」
講  師 濱口 恵子(がん研究会有明病院緩和ケアセンター 副看護部長・GM がん看護専門看護師)
座  長 岩崎紀久子(淑徳大学看護栄養学部看護学科 教授)
日  時 2月20日(土)10:00-11:00
会  場 第2会場(幕張メッセ国際会議場 国際会議室)
企画意図  看護職が直面する倫理的問題は、多職種連携、インフォームド・コンセント、意思決定、患者の権利・尊厳、終末期医療や先端医療に関するものなど多岐にわたる。しかし、看護職からは、「倫理は難しい」「どうやって解決していったらよいのかわからない」といった声を聞く。これは倫理的問題の認識と具体的な解決方法の理解が十分でないことを示している。これ以前に、倫理的問題を検討する風土がない職場も少なくない。倫理的問題は、様々な場面や状況で、本人や周囲が意識するしないにかかわらず生じるため、高い倫理的感性でキャッチし、問題を見極め、多職種で連携して検討していく必要がある。教育講演1では、長年、がん看護専門看護師、看護管理者の立場から倫理的問題に取り組む実績をもつ演者に倫理的問題の取り組みの現状についてご教示願う。
 また、倫理的問題に関する実践・教育・研究の協働の中で、研究成果をどのように活用していくことが倫理的問題解決に繋がるのか、倫理的感性を高めるために必要な、共有基盤をどのように構築するかについても考える機会としたい。
教育講演2「治療期における症状マネジメント ~“エキスパートの力”を活かす~」
講  師 荒尾 晴惠(大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻 教授)
田墨 惠子(大阪大学医学部附属病院 がん看護専門看護師)
座  長 川村三希子(札幌市立大学看護学部 教授)
日  時 2月20日(土)11:10-12:10
会  場 第2会場(幕張メッセ国際会議場 国際会議室)
企画意図  がん治療期における症状マネジメントは、QOLはもとより治療の継続にも大きな影響を及ぼす。 治療の場が外来に移行し、しかも対象者が高齢になっている近年、患者のセルフマネジメント力を強化することは重要な課題である。
 症状マネジメントモデルを治療期にある(外来化学療法・放射線療法などの)患者に活用した実践例をもとに、看護独自の機能を再確認し、治療期に関わる看護師に求められる姿勢や視点、外来で短時間に行える、等への気づきを得、明日からの実践につなげられる示唆を得る。
 症状マネジメントのエキスパートは、医療者と考えている人も多い。この講演を通して、エキスパートは患者であり患者の力を活かすことこそが看護独自の機能であることに気付けると深い学びにつながると考える。
シンポジウム
シンポジウム1「がん体験者と家族の感情表出を促すケアの可視化
               ~語りを科学し、寄り添う力を強める~ 」
講  師 樋野 興夫(順天堂大学医学部病理・腫瘍学 教授、一般社団法人「がん哲学外来」 理事長)
本田麻由美(読売新聞東京本社編集局社会保障部 次長)
市川 智里(国立がん研究センター東病院看護部 がん看護専門看護師)
鈴木 郁子(昭和大学医学部生理学講座 客員教授、生理学者)
座  長 野村 美香(神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部看護学科 教授)
川名 典子(杏林大学医学部付属病院 精神看護専門看護師)
日  時 2月20日(土)11:00-12:30
会  場 第1会場(幕張メッセ国際会議場 コンベンションホール)
企画意図  がん看護において、日常的に大切にされている“感情表出を促すケア”は、対象の心身にどのような効果をもたらすのか。このシンポジウムでは医師、がん体験者であり新聞記者、看護実践者、生理学者の各立場から体験や知見を共有し、看護実践への示唆を得る。
 医師からは、がん哲学外来を開設した意図や哲学的な関わりで患者や家族の感情表出を促す際のポイントや効果について、体験者であり新聞記者という立場からは感情を表出させる際のポイントと医療者へのメッセージ、看護師からは「NURSE」などの実践例を含め、今後の看護研究と実践が効果的に構築されるような講演内容をお願いする。生理学者からは、感情表出によってもたらされる生理学的効果を看護研究や実践に応用可能な内容を中心にご教示願う。そして感情表出のケアが寄り添う力を強めること再確認する機会にする。
パネルディスカッション
「多様化する治療選択における意思決定支援 ~先を見据えた患者・家族への支援~」
講  師 大野 達也(群馬大学重粒子線医学センター 教授、医師)
近藤まゆみ(北里大学病院 がん看護専門看護師)
川崎 優子(兵庫県立大学看護学部 准教授)
板井孝壱朗(宮崎大学大学院​ 医学獣医学総合研究科生命・医療倫理学分野​ 教授、
宮崎大学医学部附属病院中央診療部門臨床倫理部​ 部長(併任))
座  長 国府 浩子(熊本大学大学院生命科学研究部 教授)
石田 和子(新潟県立看護大学 教授)
日  時 2月20日(土)14:10-16:10
会  場 第1会場(幕張メッセ国際会議場 コンベンションホール)
企画意図  がん医療の現場では、治療法の選択や治療の中止など、様々な場面において患者・家族の意思決定が行われる。この意思決定のプロセスにおいて、看護師は患者・家族の心の揺らぎや不安などの様々な心理的反応を理解し、納得した決定ができるように支援することが大切である。
 このパネルディスカッションでは、先進医療、前立腺がん治療、意思決定サポートプログラム開発などに関与する医師、看護師、そして倫理学の視点を通して、多様化する治療選択において「患者・家族の意思決定をどう支えるとよいか」について、各パネリストにご教示願う。さらに討論を通して、意思決定場面における看護師の役割について新たな知見を得る機会としたい。
がん看護研究理解のための基礎講座
「わかる!できる!がん看護研究」
1部 リッチなデータを引き出す面接法
講  師 秋元 典子(岡山大学大学院保健学研究科 教授)
座  長 吉田久美子(高崎健康福祉大学保健医療学部看護学科 教授)
日  時 2月20日(土)14:10-15:10
会  場 第2会場(幕張メッセ国際会議場 国際会議室)
企画意図  面接法は限られた時間の中で対象者との関係を構築すると同時に、研究テーマに沿ったリッチなデータを得る必要がある。多くの看護研究関連書籍に良いデータを得るための工夫が紹介されているが、いざ面接を行うと研究者の意図したデータが得られない。対象者の年代や性別により奥深くにある思いを聞くことに困難を感じることが多い。本研究法に詳しい講師から対象者の本質にせまるリッチなデータを引き出すためのインタビューガイドの作成法やコミュニケーションスキル、面接法の工夫について講師の実践を含めながら具体的に教示いただき、質の高いがん看護研究を実践の一歩としたい。
2部 分析に悩まない質問票の作成
講  師 宮下 光令(東北大学医学部保健学科看護学専攻緩和ケア看護学分野 教授)
座  長 眞嶋 朋子(千葉大学大学院看護学研究科 教授)
日  時 2月20日(土)15:20-16:20
会  場 第2会場(幕張メッセ国際会議場 国際会議室)
企画意図  質問票調査は、臨床での事象を客観的に捉え、その状況を深く理解するために行う。質問票調査は一見すると大量のデータを一度に収集でき、結果を容易にまとめることができそうと思われ、安易に行われる場合がある。質問票の作成を始めたものの、これで良いのかわからない、調査をしたもののどのように分析していくのか分からないと悩む看護職は多い。量的研究のエキスパートである講師より有効な結果を得て、実践に活かしていくために、問題意識の具体化や調査計画のポイント、分析を見据えた質問票作成方法などを教示いただき、日頃の問題点を解決する糸口にしたい。
情報交換会
「外来と地域をつなぐがん看護専門外来 ~未来を拓く看護の力~」
講  師 角田 明美(群馬大学医学部附属病院緩和ケアセンター 看護師長 がん看護専門看護師)
渡辺 恵 (群馬大学医学部附属病院緩和ケアセンター がん看護専門看護師)
奥 朋子 (千葉大学医学部附属病院 がん看護専門看護師)
座  長 片岡 純 (愛知県立大学看護学部 教授)
北田 陽子(群馬大学医学部附属病院重粒子線医学センター がん看護専門看護師)
日  時 2月20日(土)16:30-18:00
会  場 第2会場(幕張メッセ国際会議場 国際会議室)
企画意図  近年、全国的に看護専門外来は増加の一途をたどっている。群馬大学医学部附属病院の看護専門外来の特徴は、看護部と保健学科との連携事業の一つである看護専門外来事業委員会として組織的に位置づけされている点である。そこで、“外来と地域をつなぐがん看護専門外来”を主題に、①看護の力 がん看護専門外来・緩和ケアセンターの現状と評価、②外来と地域をつなぐがん看護専門外来の課題、③看護の役割拡大 リンパ浮腫ケアの将来展望の点から専門外来の現状と課題を報告していただき、問題を提起する。
 地域包括ケア時代を先取り、外来と地域との連携、地域社会でのがん患者・家族への支援について、「地域をつなぐあり方」やシステム作りについて情報交換を行う。
ガイドライン委員会研修 シンポジウム
「チームで取り組むがん薬物療法における曝露対策-ガイドライン発刊後半年の現状と課題-」
講  師 平井 和恵(東京医科大学医学部看護学科 教授)
大路 貴子(神戸市立医療センター西市民病院 がん化学療法看護認定看護師)
間宮 伸幸(東京都済生会中央病院 がん薬物療法認定薬剤師)
甲田 茂樹((独)労働安全衛生総合研究所 研究企画調整部有害性評価研究グループ主席研究員)
座  長 神田 清子(群馬大学大学院保健学研究科 教授)
飯野 京子(国立看護大学校 教授)
日  時 2月20日(土)15:20-17:20
会  場 第8会場(ホテルニューオータニ 悠の間)・第9会場(ホテルニューオータニ 舞の間(中継))
企画意図  今年7月、日本がん看護学会・日本臨床腫瘍学会・日本臨床腫瘍薬学会の協働により「がん薬物療法における曝露対策合同ガイドライン」が発刊された。曝露対策への取り組みが遅れていた日本において、本ガイドラインの発刊は画期的なことであり、今後は各組織でガイドラインに基づく指針やマニュアルの作成、実践の定着が課題となる。
 本ガイドラインを発刊してから半年が経過した。出版されたガイドラインはすでに3刷となり、関連部門での関心の高さがうかがえる。本シンポジウムでは、ガイドラインを作成した委員会として、臨床活用へ期待することを述べる。そして実践現場で推進役になっている看護師と薬剤師の立場から現状と課題について、さらに、労働安全を推進していく立場からの課題など、それぞれの立場から講演していただく。さらに、質疑応答や討議を通じて、臨床に即しチームでどのようにがん薬物療法における曝露対策を進めていくことができるかについて、ヒントを得るシンポジウムにしたいと考える。
ナーシング・サイエンス・カフェ
「役割が広がっている! がん看護を担う看護職」
講  師 花出 正美(がん研究会有明病院 がん看護専門看護師)
戸室 真理子(慈山会医学研究所付属坪井病院 がん性疼痛看護認定看護師)
加藤 亜沙代(聖隷三方原病院 がん化学療法看護認定看護師)
ナーシング・サイエンス・カフェ(ポスター)
日  時 2月20日(土)16:30-17:30
会  場 第4会場(幕張メッセ国際会議場304)
企画意図  主として中学生・高校生の皆様と看護職者が会し、がん看護を担う看護職者の役割が拡がっていることについて紹介する場としたい。今後の進路選択時に役立てていただけることを期待したい。
第2日目 2016年2月21日(日)
特別講演
特別講演2「米国におけるがん看護研究の優先的課題とその取組」
講  師 Geri L. Wood (テキサス大学ヘルスサイエンスセンター看護学部)
座  長 鈴木志津枝(神戸市看護大学 学長)
日  時 2月21日(日)8:50-10:20
会  場 第1会場(幕張メッセ国際会議場 コンベンションホール)
企画意図  米国のOncology Nursing Society(米国がん看護学会)は、1970年代よりがん看護研究の優先性に関する調査(Research Priorities Survey)を4-5年毎に実施し、2001年より推進すべき研究課題の提示(ONS Research Agenda)を行い、必要度の高い研究を推進することでがん医療の向上を進める取り組みを行ってきている。
 2009-2013年の成果をふまえ、2014年より新たな5年計画が推進されている。このプロジェクトに関する米国の取り組みを通して、日本のがん看護の質を向上させるための戦略について知見を得る。また、個人、団体として今後取り組む研究課題を明らかにする。
教育講演
教育講演3「未来を拓く緩和ケア ~研究成果を実践につなぐ~」
講  師 田村 恵子(京都大学大学院医学研究科 教授)
座  長 藤田 佐和(高知県立大学看護学部 教授)
日  時 2月21日(日)10:30-11:30
会  場 第1会場(幕張メッセ国際会議場 コンベンションホール)
企画意図  演者は長年、がん看護専門看護師、看護管理者としてがん看護・緩和ケアに関わってきた第一人者である。死を前に様々な苦しみを抱える患者と正面から向き合い、じっくりと話を聴き、気持ちをくみ取っていく。一見、情緒的と思われる対応の中に、患者の持つ「希望」に自ら気づくようにという明確な意図をもっており、説得力がある。
 2014年に長年活動した臨床から教育・研究の場へと移動した。臨床を離れることに迷いはあったが、後輩を育てなければとの思いに駆られての転身であった。
 そこで教育講演3では、長年、がん看護・緩和ケアの実践に関わってきた経験から、研究成果を実践に還元し、どのように融合していくのか、具体的な事例を交えて伺うことで、個々人が研究と実践の融合がケアの質を高めるために如何に重要なのかを再認識する機会としたい。感性の中に潜む確かな意図や根拠をわかりやすく紐解いてもらい、研究成果としてのエビデンスの活用、実践、評価という循環について考えたい。
シンポジウム
シンポジウム2「多職種協働で創る質の高いがん医療
            ~ガイドライン・ビッグデータ分析を実践現場に~」
講  師
吉田 雅博(公益財団法人日本医療機能評価機構EBM医療情報部(Minds) 部長、
国際医療福祉大学化学療法研究所病院人工透析・一般外科 教授)
飯野 京子(国立看護大学校成人看護学 教授)
三上寿美恵(山口赤十字病院 がん化学療法看護認定看護師)
石川ベンジャミン光一(国立がん研究センターがん対策情報センターがん統計研究部
がん医療費調査室 室長)
座  長 梅田 恵 (昭和大学大学院保健医療学研究科 教授)
菅野かおり(公益社団法人日本看護協会神戸研修センター 教育研修部認定看護師教育課程)
日  時 2月21日(日)9:00-10:30
会  場 第2会場(幕張メッセ国際会議場 国際会議室)
企画意図  多職種協働で質の高いがん医療を提供するためには、共通言語としてのガイドライン活用は不可欠である。本シンポジウムではそれぞれの立場から、ガイドラインの意味、がん看護学会で作成したガイドラインの開発と啓発活動、今後のケアガイドラインへの展望、多職種協働で活用する血管外漏出のガイドラインと活用へのシステムづくり、ビッグデータの活用から導きだされる質の高いがん医療、看護 研究についてご発言をお願いする。そして、未来を拓くガイドライン・ビックデータ分析の実践活用について多職種協働の視点から討議し、多職種協働で創る質の高いがん医療のあり方を検討する。
シンポジウム3「病院と地域で創る地域包括ケア ~みんなで支える高齢がん患者の生活~」
講  師
秋山 正子(NPO​ maggie's​ Tokyo​ 共同代表、
株式会社ケアーズ​ 白十字訪問看護ステーション​ 統括所長、暮らしの保健室​ 室長)
川越 正平(医療法人財団千葉健愛会理事長、あおぞら診療所 院長)
清水奈緒美(神奈川県立がんセンター 相談支援担当科長 がん看護専門看護師)
吉本 明美(群馬県がんピアサポーター)
座  長 牛久保美津子(群馬大学大学院保健学研究科 教授)
宇野さつき(新国内科医院 看護師長 がん看護専門看護師)
日  時 2月21日(日)9:00-11:00
会  場 第4会場(幕張メッセ国際会議場301・304(中継))
企画意図  高齢がん患者には、がんやがん治療に伴う問題とともに、せん妄や寝たきりの防止、認知症を抱えたがん患者の生活場所の確保など特有の問題が存在する。本シンポジウムでは、そのような特性を持った高齢がん患者を地域全体で支えていくためには、病院、地域という枠を超えて、多職種がそれぞれの専門性を生かして、密な連携を取り合うことで成立する地域包括ケアが不可欠である。そこで、病院や地域で活躍する訪問看護師、医師、看護師の専門家やがんサバイバーの家族として、ぴあサポートに長年関わってこられた経験を元に、医療の受け手としてご発言いただき、高齢がん患者を地域包括ケアで支えるためのアイデアを得る機会とする。
日本がん看護学会30周年記念シンポジウム
「10年後のがん看護研究と社会への貢献」
講  師 荒尾 晴惠(大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻 教授)
森 文子 (国立がん研究センター中央病院 副看護部長 がん看護専門看護師)
林 昇甫 (Office Hayashi 代表医師、元厚生労働省医系技官)
座  長 小松 浩子(日本がん看護学会 理事長、慶應義塾大学看護医療学部 教授)
日  時 2月21日(日)14:20-15:50
会  場 第1会場(幕張メッセ国際会議場 コンベンションホール)
企画意図  日本がん看護学会設立1987年から30回目にあたる2016年2月の学術集会において、これまでの歴史を振り返り、さらなる発展を祈念するために30周年記念シンポジウムを企画する。がん対策基本法の成立に伴い、がん医療は様々な施策のバックアップにより大きく変化している。がん看護の教育もまた飛躍的な発展を遂げ、がん看護の専門看護師は専門看護師の中で最も大きな集団となった。また文部科学省のがんプロ事業の影響もあって、がん看護専門看護師の教育課程として日本看護系大学協議会に認証されている修士の教育課程は71に上り、専門看護師教育課程の中でも群を抜いて多い。がん看護領域は実践家も研究者もこの8年間で飛躍的に増加しており本学会の会員数の増加の背景となっている。
 若手研究者が活躍する時代が目の前に来ており、本シンポジウムでは、がん看護領域の若手研究者達等にそれぞれの立場からこれからの10年についてがん看護の研究とその社会への貢献について語ってもらう機会としたい。法人化から3年目を迎え、学会としての基盤を確かなものとし、若手研究者の支援にも力を入れ始めているところであり、理事会や代議員にもさらに若手研究者の参入が求められる。日本がん看護学会は、新陳代謝をしながらさらに発展していく学会として、若手の発言や行動力に期待している。
市民公開講座
「消化器がんの予防と治療」
講  師 齋藤 信也(岡山大学大学院保健学研究科 教授、消化器外科医)
市民公開講座(ポスター)
座  長 秋元 典子(岡山大学大学院保健学研究科 教授、日本がん看護学会理事)
日  時 2月21日(日)14:20-15:50
会  場 第2会場(幕張メッセ国際会議場 国際会議室)
企画意図  日本においては、現在、2人に1人ががんに罹患し、亡くなる人の3人に1人はがんで亡くなるといわれている。このような状況において、罹患および死亡のいずれにおいても、男性では、40歳以上で消化器系のがん(胃、大腸、肝臓)が多くを占め 女性では、高齢になるほど消化器系のがん(胃、大腸、肝臓)の割合が増加する傾向にある。2012年6月に策定された「がん対策推進基本計画」では、「5年以内に、胃・大腸がん検診受診率40%」が目標として掲げられ、消化器がんの早期発見早期治療が国策として謳われている。市民公開講座では、消化器外科を専門とする講師に生活の中で取り組める消化器がんの予防と治療についてわかりやすく解説していただき、市民の皆さまの健康の保持・増に貢献できる機会にしたいと考えている。
国際活動委員会 国際交流シンポジウム
「米国がん医療で実動した日本人NP、緩和ケア医師に聞くチーム医療」
講  師 関根 龍一(亀田総合病院 疼痛・緩和ケア科 部長)
鈴木 美穂(公益財団法人 がん研究会有明病院 副看護部長)
座  長 内布 敦子(兵庫県立大学看護学部 学部長)
日  時 2月21日(日)10:10-11:10
会  場 第6会場(幕張メッセ国際会議場303)
企画意図  我が国の医療はチーム医療という点で必ずしも先進的とは言えず、各職種の能力が最大限に生かされていない現状がある。米国は各職種の自律性を認め専門性を発揮して患者のQOLに貢献しているという点では我が国より先に進んでいる印象があるが、医療費などの社会的問題を背景に、多くの困難を経てきた歴史もまた経験している。職種の自律性を発揮させるためには制度的な保証も必要であり、高度実践を支える教育制度も基盤として重要となる。本シンポジウムでは、米国で実際にがんのチーム医療を体験した医師と看護師にその経験を聴き、米国が積み上げてきた歴史の中から我が国のがん医療におけるチーム構築の方向性、看護の役割の取り方をディスカッションする。
教育・研究活動委員会企画 平成28年度 エキスパートナース育成事業
「がんと就労 ~その人らしく生きることを支える~ 働くことの継続をサポート」
日  時 2月21日(日)9:00-10:30
教育・研究活動委員会企画 平成28年度 エキスパートナース育成事業
会  場 第10会場(ホテルニューオータニ幕張 翔の間)
企画意図   日本がん看護学会教育・研究活動委員会では、がん看護のエキスパートナースが、実践につなぐための知識を獲得し、具体的なケア方法を学ぶ機会を提供することをねらいとして「エキスパートナース育成事業」を企画しています。この事業は、がん看護のエキスパートを対象としたレベルのプログラムであり、トピック的で困難性の高い話題を取りあげ、関連する分野のがん看護専門看護師と当委員会とが協働して運営します。平成28年度、29年度の2年間の企画のメインテーマは、「がんと就労 ~その人らしく生きることを支える~」を取りあげます。平成28年度は、がん患者やその家族が就労において、実際にどのような不安や悩み、困難に直面しているか等についての理解を深め、看護職として働くことの継続支援の第一歩を踏み出すことができることをめざし、テーマは、「働くことの継続をサポート」としました。本事業が、学術集会に参加された方々のがん患者の就労支援における看護職の役割と支援の実際の学びの場となることを願っています。
プレゼンテーション1
『就労にまつわるがん患者の困りごとの実際』
橋口周子(兵庫県立がんセンター がん看護専門看護師)
プレゼンテーション2
『就労支援における看護師の活動の実際』
小迫冨美恵(横浜市立市民病院 がん看護専門看護師)
全体ディスカッション